こんにちは。関西で美容ディーラーとして働く長谷川(はせけん)です。
仕事のお話の中で時々、前職の「葬儀屋」さんのお話になることがあります。
経験したのはほんの少しだけ。
それでも自分にとっては本当にいい経験になったし、今やってる仕事に通ずるものも何かしらあるんじゃないかなって思ったりします。
先日、家の掃除をしているとそんな葬儀屋の時のノートが出てきました。
もうかれこれ12年前のノート。
びっしりと専門的なことがたくさん書いてある資料は、今の自分にとっては財産です。
字は汚いけどね。読めるからいいんです。字は今ちゃんと練習しています!!
葬儀の場こそ美容のちからが欲しい。
一生に1回しか経験しないこと。
それが生まれることと死ぬこと。
葬儀屋では誰かにとっての一生に一回の場面に何度も立ち会いました。
決して感情移入せず、淡々と機械のようにこなすでもなく、絶妙な立ち振る舞いを
求められる場面は、社会人1年生の私には想像を絶する難しさだったことを覚えています。
ろうそくの火をつけるだけでもあれほど冷や汗と手の震えを感じるとは思っていなかったはず。
葬儀の場面では、故人様はできるだけきれいにして好きなものに囲まれて旅立たれます。
ちゃんと化粧もするんですよね。これを「エンジェルメイク」って言います。
顔色に血の気がなくなるので、そう感じさせないための特殊なメイクですね。
これは、看護婦さんがされるところもあります。
そして、湯灌(ゆかん)。これは故人様のお身体をきれいに流して差し上げることです。
お風呂に入れるのとはまた違い、特殊な技術も必要になるため、専門の業者さんがいます。
あとは、きれいな服を一緒に入れてあげたり、お花を入れてあげたり…いろんなことをします。
きれいにするって尊厳を保ったり本当に尊いことなんだなって改めて思う瞬間です。
最高にきれいな状態にしてあげたと誰もが思う時
亡くなってからお骨になるまでは、本当に時間としてはあっという間なんですが、その間でできるだけのことをするんですよね。
結婚式はしっかり準備して入念に計画を立てて招待状を送るのに、
葬儀に関しては、急なことなので、すべてを一瞬で行う必要があります。
だからできるだけのことはしたいってみんなが思うんですよね。
どれだけ尽くしてきたとしても「もっと…してあげればよかった」と皆が口にします。
化粧して、頭髪も整えて、きれいな服を着て…最高にきれいな状態にしてあげたいってだれもがおもいます。
遺影写真にしてもたくさんの中からこれでもないあれでもない…とすごく厳選されます。
私は新人だったのでこの遺影写真をプリントして額に収める仕事もよくしていました。
悲しいかな、いい写真がなくて免許証の写真を使う方もいらっしゃいました。
今は、きれいな遺影写真を生前に撮っておく人もふえていますよね。
関係性の深い人ほど涙をする
皆さん、式の最中はだいたい淡々としています。気持ちがあふれる瞬間、それは「お別れの時間」ですよね。この時だけは、本当に見ている自分も何度も感情移入しそうになりました。
関係性の深い人ほど涙し、別れを惜しみますよね。大切な人であればあるほどです。
私は葬儀屋の時、最後に棺の蓋を閉める仕事をよくしていたので、その瞬間のシーンは今でも鮮明に思いだすことができます。
美容師さんはとっても関係性の深い他人
葬儀の仕事をしている時は、本当に「人生」についてよく考えていました。
23歳ぐらいで人生について考えるって言ってもね…と感じるかもしれませんが、皆が老衰で亡くなるわけじゃないので、本当に考えます。
この美容業界に入って思うのは美容師さんの存在のすごさでした。
赤ちゃんからご老人のかたまで担当していて、七五三や成人式、結婚式とお客様の大切な場面のそばには必ず「美容師」という存在がいます。
こんなに小さいときからこの子のこと知ってるんやで~と成人された男性のことを差してお話される方も何回も見てきました。
これだけ人の人生に深くかかわる仕事ってなかなかないんちゃうかな?
純粋にそう思います。
定期的に数カ月に1度お会いして、何時間か一緒に過ごしてプライベートのことをたくさんお話する。そんな関係がもうかれこれ20年は続いている…そんな人って身内以外に何人いるかな?
なかなかいないですよね。いたとしても数えるほどだと思います。
実はものすごく貴重な存在であり、身近な存在なんだよってことを美容師さんには感じてほしいな。
関係性の時代って言われるなら、これほどナチュラルに長い関係を築ける仕事はなかなかないと思う。
記念日やおめでたいときだけでなく、最期の瞬間も美容師さんに携わってほしい。
それだけ貴重な存在です。長い付き合いの中、「足が悪くなった」とか「病気を患った」などで、
足が遠のいてそれきり…なんていうのはやっぱり悲しいですよね。
だから最後の最期までちゃんと見届ける。そんな環境を美容師さんには用意してあげてほしいなって
思うんですよね。
訪問美容のことはどこまでリアルに考えているかな?そういうメニューはあるのかな?
聞いたらやってくれるのかな?
亡くなった時のメイクやシャンプーなど、そういうサービスはあるのかな?
遺影写真の撮影プランはあるのかな?どこかと提携してたりするのかな?
終活をしていこうとする人へのアドバイスとかはしてくれるのかな?
美容がこれからきっと必要になるし、そんな懸け橋を作りたい。
これだけ人の人生に深くかかわる仕事だからこそ、いろんな面で頼りになる存在になってほしいし、
最期のその時までしっかりサポートできる環境を用意してほしいなって思います。
数カ月に1度会える関係なら、ボケ防止のチェックや、日頃の健康管理も美容室でできるかもしれないですよね。
本当に美容室って可能性がめちゃくちゃあると思う!!
これから美容はそういう分野にもどんどん広がっていってほしいな。
遺影写真の撮影なんてすぐに形でできるし、ものすごく喜ばれると思う!!
他にも訪問美容やエンジェルメイクもちゃんとした教育とのうはうをもっているところもでてきてますよね。
もしかしたら元葬儀屋だった自身の経験や知識もたとえ浅はかでも役に立つかもしれない。
美容と終活。
私はこれからそこの懸け橋になれる存在になっていきたいなと思っています。
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